3ds Maxユーザーから見たCinema 4D Broadcastレビュー前編

レビュー・文:峯沢 琢也

近年、バージョンアップを重ね魅力的な機能を次々と搭載しているCinema 4D(以後C4D)。競合ソフトが数ある中、3ds MaxやLightwave 3Dを使用してきた私自身がその魅力をレビューしたいと思う。目玉の機能としては映像系のモーショングラフィックスに非常に強力なMorgraphを筆頭に映像制作を効率よく進める機能が多くメインの3DCGソフトとして3ds Maxを使用してきた部分での基本的なUIの構造の比較や使い勝手の違いも含めてまずはモデリングからレンダリングまでの使用感から掘り下げていく。

ストレスのないオペレーション

まずは驚く点としては起動の速さと統一されたUI群になる、数秒で起動が完了し触っていてもソフトウエアが落ちにくいという点は非常にストレス無くオペレーションが可能になっており、すっきりとまとめられたメニューには好感が持てる。C4Dでは各メニュー画面を「マネージャ」と呼んでおり最初に起動した時点ではデフォルトでは基本機能のアイコン、ビュー画面、オブジェクトマネージャー、と各種設定のマネージャーがみえてくる、この中で「オブジェクトマネージャー」が非常に重要な役割を持っており、3dsMaxでいう所のシーンエクスプローラー(レイヤー)とモデファイアメニューを統合したような作りになっており、オブジェクトやカメラ、エフェクト等の要素を全て一覧表示してくれるメニュー画面になっており馴染みやすい仕様になっている。

全体のUIは各「マネージャ」と呼ばれるウインドウに集約されており、ビューポートの四面表示から各ウインドウはドッキングを含めてかなり自由にインターフェースをカスタマイズできるようになっている。マテリアル、アニメーションカーブ、といった基本的な3DCGのインターフェースもほぼ他のソフトと共通なので初めて触ってみても迷うような事はないだろう。
 オブジェクトに「タグ」と呼ばれるエフェクタなどの効果を追加する事で変形や配列を簡単に行う事が可能になっており勿論非破壊なので内部のデータを入れ替える事で試行錯誤するには丁度よい、3dsmaxユーザーであれば「タグ=モデファイア」と置き換えれば理解は難しくないだろう。

オブジェクトを変形するデフォーマも3dsMaxのモディファイアに近い。使い方はオブジェクトマネージャで変形させたいオブジェクトの子したり、ヌルの中にオブジェクトとデフォーマを入れたりすることで変形させることができる。

直感的なオペレーションのオブジェクトマネージャ

基本的には入れ子構造になっており3ds Maxでモデファイアを追加していくように、C4Dではエフェクタやタグを追加してく仕様になっているのは理解しやすいはずだ、また親子関係からエフェクトの追加までツリー状態で全てが表示されるのも強力でどこを見れば良いかシンプルな構造になっているのも非常に視認性がよい。エフェクトの適用に関しても非常に直感的で、オブジェクトマネージャのUI上でエフェクトの直下にオブジェクトやスプラインをドラッグ&ドロップするだけでオブジェクトにエフェクトを掛ける事ができ、基本的な操作感が統一されているので少ないクリック数で直感的なオペレーションが可能なのは驚く。

オブジェクトに対してAfter Effectsのように重ねがけする事でその効果も変わってくる点は思わぬ見た目の効果や効率的に内容を非破壊のまま操作できるので、自由度を保ちつつも修正等に対応しやすい仕様になっているのはありがたい。ちょうど映像素材にAfter Effectsで効果重ねていく感覚や、特に3dsMaxを使用しているユーザーであればモデファイアの機能を重ねていくように操作が行え、エフェクタやタグといった名称に変わったという印象なので理解は速いと感じた。

Cinema 4Dにおいてなにより基本になるのがこのオブジェクトマネージャになる。オブジェクトの情報、可視不可視、レンダリングの可否、親子関係、グループされた項目、各種エフェクタなどのタグ、、、といったほとんど全てのステータスが一括管理できるマネージャになっている。項目に関しては階層構造になっているので、いつでも開いたり閉じたりと自由に行う事が可能になっており、ヌルオブジェクトでグルーピングを行う等、シンプルかつ直感的にシーン管理が可能。まずはこのオブジェクトマネージャを確認して、属性マネージャ、座標マネージャ、マテリアルマネージャ、ドゥープシート、Fカーブ表示、とアクセスしていく事になるだろう。

使える標準レンダラーと豊富なサードパーティレンダラー

レンダリングに関しては数多くのサードパーティのプラグインも対応済ではあるがC4D標準のレンダラーの軽快さと綺麗さも定評があり、とりあえずは標準レンダラーをある程度使いこなせるまでは標準レンダラーでも十分に戦える性能があるのは安心だ。またインタラクティブレンダリングの機能を使う事により、最終出力に近いかたちでビューポート上の操作が可能になっており、より効率的に質感設定の作業が可能になっているのも便利だ。今後は新しく搭載されたProRenderの機能向上や安定性にも期待が寄せられており今後の開発にも注目されている。また映像制作の現場では連番やムービーとしてレンダリングをしなければいけないケースがままあり時間との勝負になる事が多い、そんな時の為にもレンダリングサーバーへの対応も簡単な設定で可能になっているので余っているマシンを急遽レンダリング用にと小規模なレンダリングファームから構築できるのはありがたい。ちなみにBroadcast版では3台、Studio版では無制限と使用する段階に応じて台数設定がなされているので注意が必要だ。

レンダリングの設定は他の3DCGソフトとほぼ同じ仕様なので迷う事はないだろう、マルチパスで要素ごとにマスクを作成、プロジェクトごとに変更になるレンダリング設定自体のプリセット化など、十分な機能を搭載している。変わった所といえばコンポジットソフト向けにプロジェクトファイルを出力出来る点だろう、マルチパスで出力した素材を簡易的に組み直してプロジェクトデータとして保存してくれるのは効率的だ。(対応ソフトはAfter Effects、NUKE、Motion、DigitalFusion)

After Effectsとの連携

映像に携わる者としてはもう一つ地味な部分ではあるがAfterEffectsとの連携が上げられる。現状のAdobeCCのバージョンにはC4DのLiteバージョンが付属しているのでご存知な方も多いかもしれない。シーンデータを相互に入出力する無料のプラグインを使う事によりC4Dのカメラ、ライト、ヌルのオブジェクトの情報はそのままAfter Effectsの3D空間に持っていく事が可能になっており、3DCGを使うまでもない部分や平面素材の差し替えを考えるとC4Dの3DCG素材と組合合わせる事でC4Dへ戻る手間を減らしAfter Effectsで完結できるフローを構築する事も可能だ。

Cinema4Dからカメラデータ等をAfter Effectsへとインポートも可能になっており、素材を別々に用意する事で後から合成する事も可能になっている。また画像のようにレンダリングデータをコンポジットソフトに送るという項目にチェックを入れておくと、コンポジットソフト側で要素ごとにマルチパスで出した素材が予めセットになって読み込まれた状態でコンポジット作業を開始できる。各種マスクなど要素が多くなるとヒューマンエラーの元になる、読み込まれた状態で開始出来る事で素材を探したりカットの尺を間違えたりといった部分の手間を削減出来るのがメリットになる

また複数のカットにまたがる作業になる場合やマルチパスレンダリング(被写界深度、ライティング情報、マスク情報を各々別情報として出力して合成ソフト側で操作する場合)を使用した場合には直接After Effectsのコンポジションに既に合成させた状態で読み込める機能も付いており、毎回同じ設定で読み込み仮合成をする手間を省ける事は映像制作のタイトな時間制限の中では効率性を上げるだけでなくヒューマンエラーを防ぐ意味でもこの機能がデフォルトで付いているのはありがたい。またシーンデータの出力形態はAfter EffectsのみならずFusionやNUKE、Motion用にも出力が可能になっており映像制作を見越した設計には驚く。

後編へつづく

レビュー

峯沢 琢也

CG屋さん上がりの映像ディレクター、主に子供向け映像コンテンツにて絵コンテ、演出、監督を担当している。アニメやフル3DCG、実写と基本的には選り好みはしない姿勢。