3ds Maxユーザーから見たCinema 4D Broadcastレビュー後編

レビュー・文:峯沢 琢也

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モーショングラフィックスに特化した非破壊型のMoGrarph

Cinema 4Dという3DCGソフトを思い浮かべた時に特徴的な機能としてMoGraphがある、モーショングラフィックスに特化した非破壊型のエフェクトツール群と言えばよいだろうか。購入者によってはこの機能を使いたくてCinema 4Dを求めるユーザーも少なくない。このMographというツールは基本的にはオブジェクトを複数配列、またはランダムに配置し、かつモーショングラフィックスで使用するような規則的な動きをパラメータベースで操作する機能であり、独立したモーショングラフィックスツールであると同時にオブジェクトに様々な効果を与える機能である。

他のソフトではなかなか存在しない機能なので例えようがないが、パーティクルやスキャッタで複数配置したオブジェクトを規則的に動くように制御するツールと言えなくもない。なにせ他のソフトではあまり例がないので無理やり3ds Maxに例えるとスキャッタで複製した別々のオブジェクトにインスタンスでモデファイアの効果をかけるような機能と言えなくもないが、組み合わせ次第ではそれ以上の複雑な動きなどを少ない工数で制御出来るという感じの機能だ。本来では複数のオブジェクトに対して全部にキーフレームを打たなければいけないのだが、範囲や空間に対してアニメーションを掛けているのでMoGraphのアニメーションのパラメータの変化で操作出来るのが違いと言えよう。変わった機能では音声データに合わせて効果を付けるエフェクタ、シェーダーに変化を与えるエフェクタ等、モーションだけに留まらない効果でモーショングラフィックスを生み出す事ができるのも面白い。

基本的にはクローナーでオブジェクトを複製した後に各種エフェクタを重ねていき、動きに合わせて変化させたり、配列を変えたりという形でモーショングラフィックスに使用していくのが基本。複数のオブジェクトに個別にキーフレームを打っている訳ではなく、空間に対して配列の移動やスケーリング、その影響範囲を減衰という形でシームレスに複数のオブジェクトに反映させている。もしも、同じ効果を別の方法でアニメーションさせようとすると、複数にまたがったオブジェクトに全部アニメーションをつけつつ影響する範囲のキーフレームをずらして時間差のアニメーション効果を…といったようにかなりの手間が掛かる事が予測される。また、エフェクタによってはモーショングラフィックスだけでなくモデリングの一部として、アニメーションの一つの手法として、構造を入れ替えるだけで様々な効果を再現する事も可能。

変わった機能の中でもMotextはテキストアニメーションに特化しており、文字単体にアニメーションを付けつつ、その一連の動きを徐々に動きだしたり、ランダムに動かしたりと、手軽にタイプモーションが付けられるのもおもしろい、タイトな制作時間の中で文字にちょっとした動きを付けるだけでも効果を発揮するだろう。

またMoGraphの中には「ボロノイ分割」の機能も含まれており、複雑なオブジェクトの破砕などはこのエフェクタを追加するだけで後は数値を操作すれば規則的な割れ方から、自然に石が破壊されるような割り方までオブジェクトに追加する事が出来る。

ボロノイ分割でオブジェクトを割った後に、Mographのダイナミクス機能を使いシミュレーションをしてみた例。

このような複雑なシミュレーションも数分で構築する事が出来るのも強みだ。よくある効果を簡単に再現という意味でも非常に有効に感じる。

この他にもパーティクルと絡めたり、Mographのタグの中に入れてしまえばリジッドボディ計算が直感的に簡単にできてしまうのはシーンを作っていて単純に楽しい。

他にはダイナミクスのリジッドボディ計算は上位版であるStudioの機能ではあるが、ボロノイ分割やMoGraphのクローナー、破砕オブジェクト中に入れてしまえばStudioではなくても物理シミュレーションが出来てしまうのが特徴だ。この機能を使えば破砕モーションをリアルに表現する事も手軽に再現できるのは面白い。とにかくMoGraphに関しては直感的な操作で複合的なアニメーションが作成可能なのでまずは効果をテストしながら触ってみていろいろと試してみるその中から予想もしない結果が生まれてくる事もある、そんな使い方も出来るのが魅力だ。

アニメーション機能とXPresso

個人的にはアニメーション機能とXpressoの連携も見逃せない。Cinema4Dではそのほとんどのパラメーターに関してアニメーション可能になっておりトランスフォーム関連はもとより、タグに代表されるエフェクトの効果ももちろん数値を入れられる部分のほとんどを自由にアニメーション付けが可能になっている。

アニメーションの機能としてはFカーブやドゥープシートでの操作等は他の3DCGソフトともほぼ共通な仕様になっておりアニメーションレイヤーの機能やキャラクターのジョイントシステム(ボーンやウエイト)の機能を比較しても特に移行するに当たって悩む事はないであろう。むしろ生産性を上げるにはセットアップの部分でエクスプレッションを組むような場合にCinema 4DではXPressoという独自のノードタイプの機能を使う事出来るのがメリットと言える。

3ds Maxで言う所のパラメータワイヤリングに当たるのだがUIがノードになっておりより直感的に構築する事が可能、各アニメーションのチャンネルを連携させるような事はもとより、例えばユーザーがヌルオブジェクトに独自のパラメータAを設定、そのパラメータAに計算式Bをノードでつなぎ、結果の数値をオブジェクトC(もちろん複数も可能)のスケーリングに影響させて操作する、といったリギングの部分でも大いに力を発揮すると思われる。複雑なアニメーションをシンプルなトリガーで操作したり、大量のオブジェクトを一括で操作したり、キャラクターやアニメーションの操作に連携をもたせたりと、かなり自由にかつ視認性に優れたノードで管理しているので例えばスクリプトが苦手な人でもクリック操作だけでセットアップが出来るのは魅力的だ。

XPressoを使用する事でほぼアニメーション出来るチャンネルにはアクセスしてエクスプレッションを組む事が可能、勿論、セットアップとしてパラメーターを連動させたり、ユーザーが任意のパラメーターを作成してまとめるといった事も可能になっている。数値にアクセスできるだけでなく、エクスプレッションの間に計算を挟む、速度の数値を座標の数値に変換する、といった使い方も予め用意されているノードを使い入出力をつないでいく事で複雑なエクスプレッションでもクリック動作だけで作成する事が出来るのは便利、また作成したエクスプレッション群をまとめる機能もあり汎用性には事欠かない。全ての数値に関してはHUDに表示という機能を仕様する事でビューポートに表示させる事も可能になっているのでこの機能とエクスプレッションを組み合わせれば簡単にセットアップのトリガーが作成出来る。

見た目にハードルの低いXPressoの機能も便利だが、スクリプトとして直接記述する事も可能(C.O.F.F.E.E.やPython)になっており深く掘り下げる事もできる。

MoGraphは、Studioには搭載されている機能ではあるが比較的リーズナブルな映像制作用のBroadcastにも搭載されている、また一部ソフトボディの機能、ファーやトゥーンレンダリングの機能等、エディションによって機能が判れているが、まずはBroadcastを使いつつ慣れてきたらStudioにバージョンアップする、という形もおすすめであろうと思われる。

 

レビュー

峯沢 琢也

CG屋さん上がりの映像ディレクター、主に子供向け映像コンテンツにて絵コンテ、演出、監督を担当している。アニメやフル3DCG、実写と基本的には選り好みはしない姿勢。