CINEWARE for Illustratorで作るデザインスタディ

Cineware for Illustrator概要

CINEWARE for Illustratorについては以前の記事で紹介したので,すでにご存じかもしれませんが,念のため簡単に紹介しておきます.

Cineware for Illustrator(以下Cineware)はAdobe Illustratorのプラグインで,下記URLより誰でも無償で手に入れることができます.まずは下記URLからCinewareをダウンロードしてインストールしましょう.
https://www.maxon.net/jp/%E8%A3%BD%E5%93%81/cineware-for-illustrator/cineware-for-illustrator/

このプラグインを使うと,Illustrator上でCinema 4Dのファイルを配置することができるようになります.Cinema 4Dを触ったことがない方には少しイメージしにくいかもしれませんが,要はIllustratorでCinema 4Dファイルの3DCGデータを読み込めるということです.これはIllustrator上に3Dオブジェクトがあるわけではなく,レイヤとしてCinema 4Dのエディタを表示しているということです.そしてIllustratorで3DCGを扱うがごとく,カメラアングルやオブジェクトを回転させたり,質感を変更することができます.

主な用途としてはIllustratorでグラフィックデザインをしている方が3DCGを導入して表現の幅を広げたり,パッケージデザインなどを手掛けている方がデザインスタディを3Dで見ることでより表現力のある提案を行うことができるようになります.

Cineware for Illustrator使用事例

本記事用にCinema 4Dファイルのサンプルを下記URLよりダウンロードできます.Cinewareをインストールしたら,Illustratorに読み込むことができます.

サンプルデータ

Cinewareの使い方

プラグインをインストールするとCineware専用のウィンドウが使用できるようになります.ウィンドウメニューのCinewareから

Control Ber: カメラ操作やレンダリング設定を変更する
Scene Structure: Cinema 4Dファイル内にあるオブジェクトを表示する
Materials: Cinema 4Dファイル内にあるマテリアル(質感)を一覧表示する
Attributes: オブジェクトやマテリアルのパラメータを表示する

上記4つのパネルを表示してレイアウトしておきます.このレイアウトは保存していつでも使えるようにしておくと便利です.

実際にCinema 4DのシーンファイルをIllustratorで読み込む(配置)するところからはじめます.配置するサイズは適当に決めて構いません.読み込みに少し時間がかかりますが,次のようになります.

Illustratorでデザインして3Dオブジェクトに貼り付ける

Cinewareを使うとIllustratorで作成したベクターデータを3DCGオブジェクトに貼り付けることができる,これが大きな利点です.Cinema 4Dでデータを作成する時に,綺麗に貼れるように作成しておく必要がありますが,そのようなデータであればすぐにIllustratorでデザイン検討ができます.

ボトルのラベルはCinema 4Dで幅7cm,縦10cmで作成してありますので,Illustrator側でそれに合わせたサイズのラベルを作成していきます.長方形を幅7cm,縦10cmでラベルのベースを作成します.

ベース上にデザインを作成したら,グループ化します.マテリアルの中からラベル用の「Label」を探して選択します.属性パネルに選択しているマテリアルのパラメータが表示されるので,「Color Texture」の項目にグループ化したデータをドラッグ&ドロップします.これでラベルにベクターデータが反映されます.

テクスチャのラスターdpiを変更する

ベクターデータをテクスチャとして貼り付けると,ピクセル画像に変換されます.マテリアルパネルのRaster dpiを大きくすると,より精細なテクスチャになります.

アートワーク編集中はライブトラッキングをオフにする

マテリアルを貼り付け後,デザインを変更したいことがあります.マテリアルにベクターデータが適用されたままだと,ベクターデータを編集するたびにレンダリングが発生します.マテリアル適用後に頻繁にベクターデータを変更するような場合,作業が滞るのでライブトラッキングを停止しておきます.作業が終わったら,オンにして状態を更新します.

レンダリングして確認してみる

ラベルを変更したら,レンダリングして綺麗な表示にします.デフォルトでは表示が「Draft」になっています.Draftは表示が軽いので作業をするときには適しています.

High Qualityにするとより綺麗な状態になりますが,レンダリングを一度行うため,表示されるまで少し時間がかかります.データを更新したり,カメラアングルを変更するたびにレンダリングするので,確認したい時以外は「Draft」がおススメです.「Custom」は,もしCinema 4Dファイルでレンダリング設定済みの場合に,その設定を使ってレンダリングを行うモードです.

別のデザイン案を作成し,マテリアルのテクスチャに上書きすれば更新されます.

カメラアングルを操作する

Cinema 4Dレイヤを選択してコントロールパネルのカメラアイコンで操作できます.左から,上下移動,前後移動,回転です.アイコンを左ドラッグして操作しますが,カメラ操作をする毎にレンダリングが発生するので,レンダリングモードは「Draft」で行うようにします.Illustrator上からCinema 4Dファイルを操作するため,リアルタイム性は高くなく,それほどキビキビと操作できませんので少しずつ操作した方が良いです.(Cinema 4D本体のカメラ操作はキビキビと動きます.)また,Cinema 4Dシーンファイル内に複数のカメラがある場合は,操作するカメラをドロップダウンから選択することもできます.

オブジェクトやシーンにカメラを合わせる

Scene Structureパネルで,任意のオブジェクト(例えばbottle)を選択した状態で画像左のアイコンをクリックすると,そのオブジェクトをカメラが捉えます.右隣のアイコンは,シーン全体をカメラが捉えます.一番右のアイコンは,Cinema 4Dファイルの状態にカメラを復帰することができます.色々操作してオブジェクトを見失った場合には,これらのアイコンを使いましょう.

マスクしたい場合

Apha

アルファモードはCinema 4Dレイヤの背景を切り抜くことができるので,Illustratorのデザインに合成することができます.

Buffer

Buffer(Cinema 4D側ではオブジェクトバッファと呼びます)は特定の3Dオブジェクトだけマスクすることができますが,オブジェクトバッファをCinema 4Dで事前に設定しておく必要があります.オブジェクトバッファを使うとCinema 4Dレイヤを複数使ってレイヤの前後にイラストを挟み込むといったことができます.オブジェクトバッファはレンダリングモードをLow以上にする必要があります.

マスクとバッファについては次の動画が非常に分かりやすいです.

保存や書き出し

真ん中のアイコンで作成した画像をPNG形式で保存できます.PNGの解像度は左の歯車アイコンで指定できます.右のアイコンはIllustratorで作成したデータをCinema 4Dファイルに書き出すことができます.つまりCinewareで編集した状態で(テクスチャなど含まれた)Cinema 4Dファイルとして再度書き出して,Cinema 4Dで再編集することもできます.

Illustratorで作成したベクターデータがCinema 4D上で再現できていますね.

 

作成してみたサンプル

ボトルモデルを使ってこんな仕上がりにしてみました.

 

カメラアングルも変更できます.

簡単なラベルのデザインスタディではありますが,ラベルを貼った状態をイメージしやすくなりました.パッケージデザインでは特に現物を見ないと何とも言えない,ということもあるので,このようにIllustrator上で仕上がりをイメージできるのは大きなメリットではないでしょうか.Cinema 4Dがあればオリジナルパッケージのモデルを作成し,シーンファイルそのままIllustratorと連携させることができます.

とはいえ,いきなりCinema 4Dを導入するのは…という方,もしAfterEffects CCをお持ちならCinema 4D Liteを使うことができます.(AfterEffects CCに同梱されています.)

Cinema 4D Liteでは機能制限はあるものの,Cinema 4Dを始める足がかりとなるはずです.

Cinema 4D Liteで作る3Dタイプポグラフィ→こちらのチュートリアル

Cinema 4D Liteで作るパンプキン→こちらのチュートリアル

Cinema 4D Liteで作成したデータをCinewareを使ってIllustratorで読み込むこともできますので,Cinema 4Dをはじめる環境が整っている方はぜひチャレンジしてみてほしいと思います.

使い方の動画もMAXONのCineware for Illustratorのページにて公開されているので,ぜひご覧ください.

詳細はこちらからどうぞ.