「はじめてのCinema 4D」 あの椅子をブラッシュアップしてみよう!

2018年12月に「はじめてのCinema 4D」第2版も無事に出版することができました.第2版ではR20の機能もいくつか使用した作例もあり,キャラクターモデリングも追加されて大幅ボリュームアップとなっています.第1版をお持ちの方も購入いただける内容になっています.

「はじめてのCinema 4D」の最初の作例となる「あの椅子」は本当にたくさんの方がSNSに投稿してくださいまして,いろいろなバリエーションを見ることができ,とても嬉しく思っています.

今回の記事は,「はじめてのCinema 4D」で「あの椅子」を作成された方向けに,もう少しブラッシュアップしてみようという内容です.もし第2版を手にされた方でマスクまで作成できたなら,ポリゴンペンを使えるようになっていると思います.このポリゴンペンを使って椅子のモデルをブラッシュアップしてみます.また,書籍で紹介しきれなかった機能も使ってみます.書籍をご覧になられていない方でも読んでいただける内容にもしてみたつもりです.

書籍内容で作成されるとだいたいこのような仕上がりになっています.もうちょっとクオリティをアップしたいなぁと思う点が何か所かないでしょうか.今回はクッションのディテールアップとライティングの変更にトライしてみましょう.

書籍内容に沿って作成した「あの椅子」

1. 生地の折り込みを作る

この椅子のクッション部分の上部と前部の左右端に,生地の縫い目が袋縫いになっているような箇所があります.書籍ではこの部分はカットしましたが,内側に入っている箇所と出っ張っている部分のメリハリを作るだけも見た目の印象が変わってきます.〈ポリゴンペン〉と〈ループカット〉と〈スライド〉ツールを使い分けて作成しました.画像はポリゴンの流れがやや強引なのでもうちょっと調整すると良いかもしれませんが,完璧を求めると疲れるのでほどほどで仕上げましょう.

袋縫いをポリゴンペンで作り込む
こんな感じかな?もうちょっとふっくら感が欲しいかも?

背もたれの部分だけ作った動画です.

出来たら座面の方も作ってみてください.

2. パイピングを作る

これも第2版のマスクを作成された方であれば,同じ手順で作れます.マスクの目の周りの装飾をスプラインを取り出してスイープで作成した手順と同じです.パイピングはちょうどクッションの裏側の縁をグルっと一周するように配置されています.クッションからそれに近いエッジをスプラインとして取り出してみましょう.

エッジをスプラインに

エッジを選択します.メッシュの流れによってはループ選択で一発選択できないので,〈ライブ選択〉や〈パス選択〉を使って選択します.選択したら右クリックメニューから〈エッジをスプラインに〉を実行します.(メニューの場合はメッシュ→コマンド→エッジをスプラインに)スプラインは取り出したオブジェクトの子オブジェクトに作成されます.

ローポリ状態のエッジから取り出したスプラインをそのままスイープした場合,ローポリのクッションとは形状が合いますが,クッションにサブディビジョンサーフェイスをかけるとスプラインが一致しなくなります.サブディビジョンサーフェイスをかけた状態のエッジからスプラインを取り出してもいいのですが,ポイント数がとても多いスプラインになりますね.パイピングの場合は,生地の袋縫いの部分など重なっている箇所があるし,少しよれた感じにスプラインを後で調整できた方がいいかなと判断して,今回はローポリ状態からスプラインを取り出します.

〈エッジをスプラインに〉を実行

取り出したスプラインはエッジがそのままスプラインになるのでまだちょっとポイント数が多く,形状もガタガタなのでポイント数を調整します.

そのままだとポイント数が多い
ポイント数が多いので削除して整えます

ポイント数を調整したら,スプラインの〈タイプ〉を「Bスプライン」に変更します.Bスプラインはポイントの中間を自動的にカーブで補間してくれるタイプです.Bスプラインだと自動的にカーブにしてくれるので,ポイントの位置と数を調整すればいいだけです.「Akima」と「3次」も似たようなタイプですが,これらは必ずカーブがポイントを通過するという点でBスプラインとは異なります.用途によってはこちらの方が適していることもありますので,いろいろ試してみるといいでしょう. 「ベジェ」だと接線の調整が必要ですが,3D曲線の接線調整は奥行きもあるので難しいです.

スプラインタイプをBスプラインに変える
スプラインタイプは用途に応じて使い分けます

ポイントが密集している箇所は削除していきます.削除したらこのスプラインを調整してサブディビジョンサーフェイスを適用したクッションに合わせていきます.

ポイント位置を調整する
ポイント位置を調整します

断面となる円形スプラインを作成して,半径は「0.3㎝」程度にします.〈分割角度〉も少し数値をあげて荒くしても見た目には分からないはずです.スイープをさせるとパイピングができます.

スイープで押し出し
スイープで押し出し
キャップは不要
対称にするのでキャップは不要です

パイピングは〈対称〉にするので,スイープの〈キャップ〉は〈開始端〉,〈終了端〉ともに「なし」にしておきます.最後に対称にして完成です. もっと作り込みたい場合は,〈エッジからスプライン〉を一周まるごと取り出して左右非対称の”よれ”を作ったり,クッションに合わせて形状を修正してもよいと思いますが,手数も多くなるので本記事ではこれくらいにしておきます.

パイピング完成
パイピングができた

3. 大きな皺をモデリングする

クッションの座面や背もたれの部分が少し固い印象がないでしょうか.革の柔らかさを感じられるように,もう少し皺をつくってみます.マテリアルのバンプマップで表現することも出来ますが,今回はモデリングによる作り方を紹介します.

モデリングで作る場合,皺が左右対称ではちょっとおかしいですね.また,皺を作るには少しポリゴン数が少ないようです.そこで,サブディビジョンサーフェイスを分割数「1」にして,オブジェクトマネージャの〈現在の状態をオブジェクト化〉を実行します.これで元のオブジェクトを残しつつ,細分化したオブジェクトを作成できます.念のため元形状は残しておいた方が安心です.

〈現在の状態をオブジェクト化〉を行う
〈現在の状態をオブジェクト化〉を行う

ブラシツールを使う(全グレード使用可)

ブラシツールを使う場合は,〈サーフェイス〉を「オン」にしていないと裏側のポリゴンにも影響を与えるので「オフ」にしてください.半径は〈半径〉を変えるか,マウス中ボタンをドラッグすると変更できます.〈強度〉も適宜調整します.〈モード〉は用途に応じて変更していきます.表面の凹凸を作りたい場合は,〈法線〉が適しています.法線モードの時,ctrlキーを押しながら左ドラッグすると法線の逆方向へ移動させることができます.

ブラシツールはオブジェクトのポリゴン上で左ドラッグしていきますが,もしポイントやエッジ,ポリゴンが選択されている場合は選択しているエレメントだけブラシの効果がでるの注意してください.少しでこぼこになったら〈モード〉を「スムーズ」にすると表面を滑らかにできます.

スカルプトツールを使う(Studio)

スカルプトツールを使ってポリゴンを直接編集することもできます.中でも〈盛り上げ〉,〈つかむ〉,〈つまむ〉,〈スムーズ〉は使い勝手の良いツールです.スカルプトツール中は,中ボタンを左右にドラッグすると半径を調整でき,中ボタンを上下にドラッグすると強度を調整できます.ctrlキーを押しながらドラッグで逆の効果になるツールもあります.例えば〈盛り上げ〉なら盛り下げ効果という具合です.shiftキーを押しながらサーフェイスをドラッグするとスムーズがかかります.これはどのスカルプトツールを使っている最中でもスムーズを行うこと出来ます.ただし,スムーズの強度を変えたい場合は一旦スムーズツールを選択する必要があります.

4. ライティング

書籍ではライティングを鏡面反射へ映り込ませるためにエリアライトで行っていますが,第2版のマスクの作例で行ったように発光マテリアルを使ってもいいと思います.プロダクトの表現は映り込みの要素も重要ですが,エリアライトだと映り込みのエッジがはっきりと出すぎてしまいます.その点,発光マテリアルを使った方法では発光チャンネルのテクスチャにシェーダを使えるので,ここにグラデーションシェーダやレイヤシェーダを活用すればソフトボックスやディフューザーを使った時のようなグラデーションの映り込みを表現できます.調整次第で綺麗な反射を得ることができます.

分かりやすい形状で違いを見てみましょう.

エリアライトの映り込み

映り込みはとてもシャープなので引き締まった印象に仕上がります.補足ですがエリアライトはGIとの相性があまり良くないのでGIを使う場合は後述のオブジェクトと発光マテリアルの使用をオススメします.

エリアライトのシャープな映り込み

発光マテリアル(シェーダー併用)の映り込み

発光マテリアルはテクスチャが使用できます.ここにグラデーションシェーダやレイヤシェーダを組み合わせるとソフトボックスやディフューザーを使った時のような柔らかい映り込みを作ることもできます.

発光マテリアルの映り込み
発光マテリアルの映り込み

シェーダはレイヤシェーダにグラデーションを組み合わせただけです.グラデーションの位置を調整すれば拡散光の位置も微調整できます.

発光チャンネルのシェーダを工夫してみた
発光チャンネルのシェーダを工夫してみました

発光マテリアルの明るさを変えるには?

発光チャンネルの〈明るさ〉を調整します.もしグラデーションなどのシェーダを併用する場合は,〈混合モード〉を「乗算」などにして発光色の明るさに対してシェーダを混合するようにします.

発光による照明強度の変更
発光による照明強度の変更

各発光オブジェクトの位置やサイズを調整しながら映り込み具合を微調整ていきます.この工程はレンダリングしながら作業をした方がよいので,〈レンダリング〉メニューから〈インタラクティブレンダー〉をアクティブにした状態で,かつ軽めのレンダリング設定と低めの品質に設定しておきます.

発光マテリアルで照明を行う場合

必ずグローバルイルミネーション(以下GI)を使いましょう.GIを使わない場合は,映り込みはしますが,光を放射しないので注意が必要です.さらに,発光マテリアルの〈GI設定〉を開き,〈ポリゴンライト〉を「オン」にしておきます.

〈ポリゴンライト〉は「オン」
〈ポリゴンライト〉は「オン」

空オブジェクト+グラデーションマテリアル

GIを使うと空オブジェクトからの照明も使用できます.空オブジェクトを作成し,発光チャンネルにグラデーションシェーダを使って,やや暗めの照明にします.これを映り込みに使うこともできます.

空オブジェクト用マテリアル
空オブジェクト用マテリアル

ライトの位置,明るさを微調整する

ライティングの準備ができたら,インタラクティブレンダーの結果を見ながら映り込み具合や,発光の明るさ具合を微調整していきます.反射を部分的にカットするための黒いマットマテリアルのオブジェクトを配置してもよいでしょう.デフォーマを使ってポリゴンを曲げるようなことを試してみると,映り込み具合の印象が変わります.ちなみに椅子のフレームは強い鏡面反射素材ですが,ほんの少しの調整で映り込みが変わるので,ライティングの難しいテーマでもあります.

各ライトの配置
各ライトの配置

最終的にはレザーの色,反射強度や表面粗さも微調整して,仕上がりはこのようになりました.反射も柔らかくなって少し落ち着いた印象になったのではないでしょうか.

ディテールアップとライティングの調整後
ディテールアップとライティングの調整後

まだ「はじめてのCinema 4D」第2版をお持ちでない方で興味が出てきた方はこちらからもご購入いただけます.

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